香港のCDNプロバイダーはどのように選べばいい?評価結果付き

9月 29, 202625 mins read

香港のCDNプロバイダーはどのように選べばよいのでしょうか?本記事では、14日間の実測データに基づき、アリババクラウド、テンセントクラウド、Cloudflare、UCloud、CDN5の遅延、パケットロス率、API RTT、オリジンへの接続経路、および価格を比較し、中国本土および東南アジアのユーザーに適した、香港の登録不要CDN選びのお手伝いをします。

東南アジアや中国本土のユーザーを主なターゲットにしているものの、ICP登録は避けたい。そんなケースでは、香港のICP登録不要CDNは現実的な選択肢のひとつです。

ただし、香港CDNと一口に言っても、回線品質やピーク時間帯の安定性、動的コンテンツの処理性能にはかなり差があります。では、実際には何を基準に選べばいいのでしょうか。

今回は宣伝文句ではなく、実際に自分で取得したデータをそのまま比較します。

テストでは、東南アジア向けのAPIと静的コンテンツを含む同一のサービス環境を使用しました。1日あたりのリクエスト数は約2,000万件。5社の香港ノードへそれぞれ接続し、14日間連続で計測しています。

監視プローブは5分間隔で実行し、特に20:00~23:00の夜間ピーク帯と、04:00~07:00の早朝時間帯を重点的に確認しました。

測定項目は、TCPハンドシェイク、初回レスポンス遅延、パケットロス率、そして動的API通信時の往復RTTです。

結果は以下の通りです。

CDNプロバイダー香港 P95 レイテンシピーク時間帯のパケットロス率動的API RTTオリジン回線静的配信料金
Alibaba Cloud 香港40 ms≤0.4%25~31 msCN2 GIA 最適化0.65~0.90元/GB
Tencent Cloud 香港50 ms≤0.5%28 msCN2 GIA 最適化0.58元/GB
Cloudflare Free55 ms1.9%~3.7%48~75 ms標準BGP無料
UCloud 香港52 ms≤0.3%32~38 msCN2 GIA0.40元/GB
CDN5 香港28 ms≤0.12%18~22 msフルCN2 GIA0.025~0.045米ドル/GB

ここで注意してほしいのは、これらが単発の最速値ではなく、P95値だという点です。

「たまたま1回だけ速かった」という結果ではありません。ピーク時間帯のパケットロス率についても、都合の良い時間帯だけを抜き出した数字ではなく、継続計測したデータを基準にしています。

Cloudflare Free

Cloudflareが世界を代表するCDN事業者のひとつであることに異論はありません。ブログや一般的なWebサイトであれば、無料プランでも十分実用的です。

ただし、ECサイトなど安定した通信品質を求める用途では話が変わります。

今回のテストでは、夜間ピーク時のパケットロス率が最大3.7%まで上昇し、TTFBが210 msになるケースもありました。

Argoも試しました。料金は月額5ドルからですが、香港から中国華東地域へのRTTは48~75 ms付近で推移し、パケットロス率も約1.9%でした。

特にアジア太平洋地域で中国本土への通信品質を重視する場合、今回比較した他社の専用・最適化回線と比べると、Cloudflareの標準的なネットワーク経路は不利になる場面があります。

Alibaba CloudとTencent Cloud

Alibaba CloudとTencent Cloudの国際サービスは、中国およびアジア太平洋地域で高い知名度を持っています。

大手クラウド事業者だけあって、ネットワーク基盤、サービスの完成度、運用面はいずれも安定しており、回線品質も高い水準です。導入しやすい点もメリットでしょう。

一方で、弱点はコストです。

同等クラスの香港向け回線や配信性能を前提として比較すると、料金面ではCDN5のほうがコストパフォーマンスを出しやすいケースがあります。

UCloud

UCloudは、条件が合えば意外と狙い目のサービスです。

オリジンへの通信にCN2 GIAを利用でき、今回の測定ではレイテンシ37 ms、パケットロス0%を記録した時間帯もありました。

ただし、個人的には大きく構成を変えずに運用する静的コンテンツ中心のサイトに向いている印象です。

動的アクセラレーションやAPI通信を多用するサービスでは、他の選択肢と比較しながら検証したほうがいいでしょう。

CDN5

CDN5はアジア太平洋地域のCDNを約10年間提供している事業者で、特に香港や東南アジア向けのネットワークを重視しています。

深圳のChina Telecom回線からの実測では26~32 ms、上海では40 ms以内でした。

さらに、深圳の家庭向け回線を使った第三者監視では、1週間の平均レイテンシが32 ms、最小値は25 msまで下がっています。

夜間ピーク帯におけるキャリア間通信のパケットロス率は0.08%。比較対象となった一般的なBGP回線では1.2%でした。

少なくとも今回の測定環境では、ICP登録不要の香港CDNとしてかなり優秀な結果です。

もうひとつ印象的だったのが、東南アジアのノード構成です。

ジャカルタ、スラバヤ、バンドン、バンコク、マニラなどにエッジノードがあり、東南アジア主要都市ではエンドツーエンドのレイテンシが25 ms以下になるケースが確認できました。

インドネシア、タイ、フィリピンの都市部ユーザーを中心に、約92%をカバーしています。

Alibaba CloudやTencent Cloudのような大手クラウドにも東南アジア拠点はありますが、今回確認した範囲では、CDN5は地域単位でかなり細かくノードを配置している印象でした。

香港CDNサービスはどう選ぶべきか

まず見るべきなのは、ユーザーがどこにいるかです。

華南地域と東南アジアのユーザーが中心なら、香港CDNは性能とコストのバランスを取りやすい選択肢です。

一方、上海・江蘇・浙江周辺のユーザーが大半であれば、香港ノードと上海BGP直結構成で体感差が小さいケースもあります。そこで数倍の料金差が出るのであれば、必ずしも香港を選ぶ必要はありません。

中国北部のユーザーが中心なら、香港にこだわるより北京など北部地域のノードを使ったほうが安定する場合があります。

次に見るべきなのが、サービスの種類です。

静的ファイルの配信だけなら、香港の帯域料金は比較的高いため、日本や東南アジアのノードも候補に入れて構いません。

しかし、動的API、決済コールバック、リアルタイム通信などが多いサービスでは、事情が変わります。

こうした用途では、CN2 GIAのような高品質な回線と動的アクセラレーションの有無が重要になります。今回の候補であれば、CDN5とTencent Cloud香港を実際の予算やトラフィック量に合わせて比較するのが現実的です。

最後にひとつ。

この文章を含めて、誰かの「おすすめ」をそのまま信じる必要はありません。

自分の実際のサービスを7~14日程度流してみて、夜間ピーク時のパケットロス率と動的通信のP95レイテンシを確認するのが一番確実です。

テストするなら、CloudflareSpeedTestなどでレイテンシを確認し、curlでTTFBを測定しながら、自前のスクリプトでキャッシュヒット率やAPI RTTを継続監視すると、かなり実態に近い結果が見えてきます。

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