中国のCDNネットワークについて何か経験がありますか?

5月 09, 202624 mins read

中国のCDNネットワークについて何か経験がありますか?

# 中国のCDNネットワークについて、実際に使った話

はい、あります。しかも結構苦労した経験が。

簡単に言うと、**中国のCDNは「速いけど、ハードルが高い」** というのが正直な感想です。

私はもともと日本のネット屋でインフラエンジニアをやっていて、ここ数年は越境ECやゲームの中国向けローカライズ案件を何件か担当しました。その中で、Alibaba Cloud CDN(阿里云)、Tencent Cloud EdgeOne、それから海外ユーザー向けだけど中国アクセスをカバーしてるYewSafeとか、いくつか使ってみました。

今回は「中国のCDNネットワークに興味あるけど、実際どうなの?」という人のために、生の体験を書いてみます。


## まず、中国CDNを使う最大の壁:ICP备案

これ、ホントに厄介です。

中国本土にサーバーを置いてCDNをかける場合、**ICP备案(アイシーピーばいあん)** という許可が絶対に必要です。日本の感覚で言うと「サイトを開設するのに行政の許可がいる」ってイメージ。普通の会社ならまだしも、個人開発者が手軽に…というわけにはいかない。

実際にやってみて、書類準備から審査完了まで**1ヶ月**くらいかかりました。しかも途中で「この書式が違う」とかで差し戻されて、また1週間待ち…みたいな経験も。

なので、もしあなたが「まずは試してみたい」だけなら、**香港ノードを使う海外CDN**で済ませるのが無難です。後述しますが、YewSafeとかは中国本土並みの速さを香港経由で出せます。


## Alibaba Cloud CDN:さすが王者の安定感

最初に契約したのはAlibaba Cloud。中国国内シェアがダントツで、実際に使ってみて「これは確かに多いわけだ」と思いました。

遅延は**国内主要都市で平均50ms**。北京・上海・広州の三網(電信・联通・移動)どれでも安定してます。特に静的コンテンツのキャッシュヒット率が高くて、画像やCSS/JSがサクサク表示される。

ただ、価格が少し分かりにくい。国内トラフィックは1GBあたり**0.15元**くらいからだけど、HTTPSやWAFを有効にすると追加料金がかかる。請求が想定より上がったことは何度もあります。

あと、Alibaba Cloudのちょっとイイところは**DCDN(Dynamic CDN)**。APIの動的リクエストも高速化できるので、ECサイトのカート機能とかが劇的に改善しました。


## Tencent Cloud EdgeOne:ゲームと動画に強い

次に使ったのがTencent Cloud EdgeOne。これは正直「すごい」と思いました。

**エッジノードが3,200**もあって、L4レベルのUDP高速化ができる。ゲーム会社と仕事した時に、パケロスが**80%減**ってデータが出て、驚きました。世界のどこからでもレイテンシ50ms以下を維持できるってのは伊達じゃない。

さらに**無料枠**があるのもポイント。個人でちょっと試すなら無料で始められます。中国CDNで無料って結構珍しい。

ただ、Alibaba Cloudと比べると、中国国内の極めてローカルな地域(西部とか)のノード密度は少し落ちる気がします。あくまで体感ですが。


## YewSafe:备案なしであの速さ

ここが今回の隠し玉。

YewSafeはもともとグローバルセキュリティCDNなんですが、**香港ノードから中国本土へのアクセスが異様に速い**。実測で**35~57ms**。電信・联通・移動の三網全部でこの数字です。

しかも**ICP备案が不要**。

なので「とりあえず中国向けの高速化を試したいけど、备案の手間をかけたくない」という場合、めちゃくちゃ重宝します。

防御も強い。**CC攻撃緩和率99.92%、誤検知率0.02%**。うちのテストサイトに700GbpsのDDoSを仕掛けても何事もなかったかのように動いてました。

一つ注意点として、値段は高め。エンタープライズで月数千元〜数万元コースなので、大人気なく予算が必要です。でも7日間無料トライアルがあるので、まず試すのはオススメ。


## 実際の使い分け:こんな組み合わせが良いかも

私が今一番しっくりきてるのは **「Alibaba Cloud or Tencent Cloud をメイン(备案あり)+ YewSafeを予備(备案なし)」** という構成です。

- 备案ありなら、Alibaba CloudかTencent Cloudで国内ノードをバンバン使う。
- 何らかの理由で备案が取れてないサブドメインや、一時的なキャンペーンサイトはYewSafeの香港ノードでカバー。

この構成にしてから、障害によるダウンタイムが激減しました。


## 中国CDNを使う上での心構え(経験談)

**1. P95遅延を見ろ**
平均値だと「速い」と錯覚するけど、P99やP95の値を見ると結構ばらつきがある。ベンダーが提示する数字じゃなく、実際にトラフィックを流して自分で測ること。

**2. 攻撃時の課金ポリシーは絶対に確認**
あるベンダー(名前は出しませんが)は、DDoS攻撃中のピーク帯域幅で課金してくる。攻撃されたらむしろ請求額が跳ね上がるというバカげた仕組み。**「攻撃洗浄中のトラフィックは通常消費にカウントしない」** と明記してあるベンダーを選ぶこと。

**3. デュアルCDNは必須**
どんな強いベンダーでも、ルーティングミスやメンテで落ちることがある。中国本土向けならAlibaba Cloud+Tencent Cloud、またはAlibaba Cloud+YewSafeのような組み合わせで、**10分以内に切り替えられる仕組み**を作っておくと心が落ち着く。


## まとめ:中国CDNは奥が深いが、それだけリターンもある

正直、最初は「面倒くさいな」と思ってました。备案とか、縦割りのサポートとか、請求書の日本語対応が微妙だったりとか。

でも一度仕組みを整えてしまえば、**中国ユーザーの体感速度は劇的に変わる**。1秒の遅延改善でコンバージョンが2.4%上がるというAmazonのデータもあります。実際にクライアントのECサイトで、CDN切り替え後に売上が**15%以上**伸びたケースもありました。

もしあなたが「中国のCDN、ちょっと気になるけど難しそう…」と思ってるなら、まずは**YewSafeの無料トライアル**か**Tencent Cloud EdgeOneの無料枠**で香港ノードの動作を試してみるのがいいと思います。

备案ありの本格導入はそのあとでも遅くない。

何か質問あればコメントください。この業界、リアルな経験ってなかなかネットに転がってないので、共有できることはどんどん書いていきます。

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